あまりにも偶然に、グアムのローカル・フォトグラファー、Roel Santiago(ロエル・サンティアゴ)氏が11月3日(火)の朝に心臓発作のため44歳で亡くなったことを知りました。
彼には数回ほどしかお目にかかっていないのですが、私にとって彼はとても大切なひとのひとり。
結婚してグアムに来たばかりでまだここにお友達らしい人も知らず、当時持っていた2万円ほどの型落ちのコンパクト・カメラで写真を撮り始めた頃、flickrという写真サイトを知り、ここでグアムの写真を集めたコミュニティーがあることを知りました。そこでAji-Ichi Japanese Restaurant (味一)がグアムと日本の交流のきっかけになればと、白くて広いお店の壁面を簡単なギャラリーとしてオープンにするので、グアムの写真や、グアムの人が撮った日本の写真を提供してくださる方はいませんかと書き込みをしたところ、Roel Santiago(ロエル・サンティアゴ)氏が名乗り出てくださいました。
私は彼がどのような人物かもよくわからずレストランで待ち合わせたところ、アマチュア・カメラマンの方だろうと思っていたら、実は政府の公式フォトグラファーであり、プロのカメラマンということでとてもびっくり。しかももう少し若手風のカメラマンJunior Rios Manuel(ジュニア・リオス・マヌエル=通称JR)を紹介してくださり、ぜひ彼の写真を飾ってほしいと。Roel(ロエル)の作品は政府の公式フォトグラファーとしての知事やイベントの写真、女性のポートレート、軍関係の写真などが多く、レストランに展示するにはあまり向かないけれど、JRの写真は美しい風景画なども多いので、とのこと。まだ当時駆け出しのフォトグラファーでしかなかったJRのさながらマネージャーなのではないかというほど腰の低い方でした(結局今でもJRの写真がレストランに飾ってあります)。そして彼の強力なサポートもあり、JRはあっという間にグアムの有名なフォトグラファーになり、現在知事の専属カメラマンでいらっしゃいます。
また他にもグアムの美しい風景画を多く撮影し、Island Time(アイランド・タイム)というグアムでも有数のフリーマガジンのために写真を撮るなど大変活躍しているSteven Zhao(スティーブン・ザオ)氏がまだ無名の頃にご紹介くださったのもRoel(ロエル)。満州出身のSteven(スティーブン)が、英語がままならないもどかしさがあっても、自分はグアムへの愛情を写真で表現したいと一生懸命に話すのを、横でニコニコと見ていたRoel(ロエル)が今でも印象的。またアメリカ本土から移住され、Pacific Daily Newsの専属フォトグラファーとして当時からずっと活躍されている日本人女性Masako Watanabe氏もご紹介いただき、新聞で彼女の写真を見るたびにRoel(ロエル)はどうしているかなと思ったりしていました。
さらに私は結局行かれなかったのですが、まだまだコンパクトカメラでちょこちょこ写真を撮っていた私を、グアムのローカル・フォトグラファーみんなでお食事するからおいでと誘ってくださったのも忘れられません。
新聞記事にも書いてあるように、彼は本当にいつも笑顔で、誰かのために自分に何かできることがあれば、いつでも尽力を惜しまない人だったのだと、あらためて思い出されます。
そんな彼の人徳のなせることなのでしょうが、44歳という若さでの突然のRoel(ロエル)の死に驚き、11月11日にはお友達が彼のお葬式の資金を集めるためのイベントを開き、11月14日にはお葬式が営まれたとのこと。
彼が亡くなられた日、そしてお葬式があった週などは、ちょうど私たちは今年の中でも特にとても忙しく、このときに限って新聞などもあまりきちんとチェックしていませんでした。もしあの時新聞記事に気がついていれば、ぜひRosary(ロザリー)かファンドレイザー(寄付金集め)のイベントに参加したかったのにと、悔やまれてなりません…。
Roel(ロエル)から直接写真のことをいろいろと教えてもらったことはありませんが、グアムのフォトグラファーの世界を垣間見せてくれた最初のきっかけになってくれたこと、そしてそのことがその後とても私にいい刺激を与えてくれたことを思うと、やはり彼はとても大切なひと。その方の死にすぐには気がつかなかったことが申し訳なくて仕方ありません。
毎日をていねいに生きていくこと。
人との出会いを大切にすること。
彼の死によってあらためて気がつかされました。
R.I.P. Roel。
どうもありがとう。
ご冥福を心からお祈りします。
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